民間企業初の月面到達を目指すこのプロジェクトを様々な視点からご紹介します。 |
日本の宇宙開発が本格的にスタートしたのは1955年のこと。「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」とも呼ばれる東京大学の糸川英夫教授が小型ロケットの水平発射を成功させたことがきっかけです。
1961年には、後にISAS(宇宙科学研究所)※1となる科学衛星の開発を行う宇宙航空研究所が、8年後の1969年には実用衛星を開発するNASDA(宇宙開発事業団)※2が発足。さらに、2003年にはこれら2機関と、航空機の研究を行うNAL(航空宇宙技術研究所)※3が統合され、基礎研究から総合的な開発を一貫して行うJAXA(宇宙航空研究開発機構)が設立されます。これらの組織が、日本の宇宙開発をリードしていきました。
探査機「はやぶさ」による世界初の小惑星サンプル採取や、成功率96.3%を誇るロケット打ち上げなど、多くの分野で世界に負けない実績を持つ日本。しかし、一方で、培った高い技術力をうまく商業利用に活用できていないという課題があります。
そうした状況を打破するべく、2008年に施行された「宇宙基本法」では、民間の宇宙開発を国が支援し、宇宙産業の振興や国際競争力を高めていくことが初めて明記されました。日本の宇宙開発に対する姿勢を再定義したのです。
そして次に、大塚製薬が「LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT」を通じて、月面に到達する飲料としては人類史上初となるチャレンジにポカリスエットで挑みます。前例のない、月面を使ってのプロモーション活動は、世界中に驚きをもたらすでしょう。
民間企業だからこそできる、柔軟な発想と、これまで培った高い技術力が掛け合わさった時、日本の宇宙開発は次のステージへ進むことでしょう。
※1…宇宙科学研究所。1981年設立。旧文部省(現文部科学省)の国立機関
※2…宇宙開発事業団。1969年に科学技術庁(2001年廃止)の下部機関として発足
※3…航空宇宙技術研究所。1955年設立。
1967年に国連から発効された「宇宙条約」※4は、月は人類の財産であるとして、月の領有権の主張を禁止しています。
その後、1984年に発効された「月協定」※5では、探査報告の義務化や天然資源の所有禁止などが制定されました。しかし、批准国はわずか13カ国。アメリカ、ロシア、中国、インド、そして日本など宇宙開発に積極的な国は、開発が制限されるという理由から批准していません。このように、月の資産利用に関しては、まだルールが明確化されていないのです。
こうした状況の中、「LUNA DREAM CAPSULE PROJECT」を実行することは、月に関する実態のあるルール作りに向けた契機になるかもしれません。
今後の宇宙開発の新しいルールを人類が考える第一歩として。そして、誰もが安心して自由に宇宙へ飛び立てる未来の礎として、このプロジェクトを模範的でかつ価値あるものにしたいと考えています。
※4…正式名称は「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」
※5…正式名称は「月その他の天体における国家活動を律する協定」
「LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT」のゴールは、月面にドリームカプセルを置いてくることではありません。このプロジェクトをきっかけに月や宇宙に興味を持った若者たちが近い将来、自らの力でドリームカプセルを取りに行き、その中に詰まったみんなの夢を持ち帰ってくることこそが目的なのです。
技術の発達により、宇宙に飛び立つハードルは年々下がってきています。
2004年にスケールド・コンポジッツ社が開発した宇宙船「スペースシップワン』が初の民間有人宇宙飛行に成功。わずか3分でしたが、宇宙空間である高度100kmを飛行しました。また、2012年にはスペースX社が開発した「ドラゴン」が民間の宇宙船としては初めてISS(国際宇宙ステーション)とのドッキングを行い、物資補給に成功しています。
「LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT」も民間企業の力だけで、初めて探査機の月面着陸を目指しています。かつては、国家プロジェクトレベルでないと実現できなかった宇宙飛行が、今は民間企業の手によって行える時代になってきているのです。
ドリームカプセルを取りに月へ飛び立つ。そんな動機で、宇宙へ向かうことができるような時代を想像してみてください。きっと今より、宇宙が身近になっていることでしょう。宇宙旅行は当たり前になり、月面基地もできているかもしれません。
このように、宇宙に対して夢を抱く若者が1人でも多く出てきてほしい。そして近い将来、夢を実現させたその若者が、ドリームカプセルを持って帰ってきてくれる。それが、「LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT」の一番の目的なのです。
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