「世界の壁はまだ厚いです」。彼女は女子最年少優勝など国内大会で数々の記録をもつビリヤードプロ。正確にコントロールされたブレイクで、的球が1個、2個とポケットに吸い込まれていく。ビリヤードは頭脳スポーツ。キューのタップにチョークを塗る間に、これから先の手球のポジションとゲームの組み立てを考える。手のひらの汗をぬぐうと、きりりと顔を引き締め次の的球を狙った。世界で勝ちたい。そのための課題はもう見つかっている。
「私は海外に出るとメンタルワースト1(笑)。勝ちたい気持ちが強すぎました」。海外選手のポーカーフェイスやスロープレーを真似たり、相手に外してほしいと心理的な弱さを見せたり。そんな自分の弱点を克服するため、今年からメンタルトレーニングを取り入れた。周囲を気にするのではない。自分と向き合う大切さを知った。今はテンポよく自分のスタイルでプレーすることができる。「萎縮していた自分。最近変えることができました」と晴れやかな表情を浮かべる。
ビリヤードの楽しさが戻ってきました。
夢は、25歳までに世界選手権優勝です!
6歳でビリヤードを始めた。ビールケースに乗り短く切ってもらったキューで球を撞いた。家族や多くの人に支えられてきた。だからいつもみんなに感謝して試合に臨む。「今年は違った戦いを見せられるかな」と微笑んだ。
平口結貴(ビリヤードプロ) 1997年生まれ。北海道出身。6歳でビリヤードを始め、高校在学中に女子史上初の全日本ジュニアナインボール選手権優勝。高校卒業後のプロデビュー戦関東レディースオープンで最年少優勝。2017年ジャパン・オープンで国内女子史上最年少優勝を果たす。プロ公式戦通算3勝。
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