ポカリスエットの誕生秘話

03.山頂デ、試飲セヨ

『汗の飲料』開発のカギは、汗にあり。

研究も進み、数多くの試作品の中から、糖質濃度の薄いタイプと濃いタイプの2つに絞り込まれていました。この2つのうち、研究員たちがおいしいと思ったのが濃いタイプ。薄いタイプは「物足りない」「健康飲料でも、この甘さでは満足できないのでは」とみんなの意見は一致。でも、あの技術部長だけは納得していませんでした。

数日後、技術部長は研究員たちを連れて山に登りました。山頂に到着するとリュックから2本の水筒を取り出し、「これはこの前、研究室で飲んだ試作品なんだけど、どっちがおいしいと思う?」と研究員たちに試飲をさせました。「薄いほうが飲みやすい」「濃いのは甘すぎる」「薄いほうがゴクゴク飲めて、滑らかにのどを通る」つまり、全員が薄いタイプをおいしいと感じたのです。「でも、なぜ?」。不思議がる研究員たちに技術部長はその理由を教えました。「汗をかいた時は、糖質量が少ないほうがさっぱりしておいしいと感じるんだよ。開発しているのは『汗の飲料』。だから、汗をかいた時においしいと感じることが大事なんだ」その言葉にみんな深くうなずくのでした。

ところが、その試作品を初めて飲んだ社員たちは、「はっきり言ってまずい」「これじゃあ売れない」と大反対。それでも、社長は「汗をかいた後に飲めば、きっと理解してもらえるはず」と自分の味覚と直感を信じて発売を決断したのでした。

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