みんなでつくる、ブカツの教科書。

Vol.003 パフォーマンスを生み出すウェイトコントロールとは?

中高生スポーツ選手の大敵は、やせ過ぎ

本当は避けたい、成長期の減量

指導者の方にも気をつけておいてほしいことでもありますが、「体重は本当に落とさなければいけないのか」を考えなければいけないと思います。レスリングや柔道のような階級制の種目なら、中高生は自分の体重にしっかり合った階級で出場した方が良いでしょう。

成長期の減量はおすすめできません。そのときは無理して体重を維持できても、その後に骨がもろくなるなど、悪影響が出るからです。誤った体重、体型に対する考え方が摂食障害を引き起こすこともあります。

減量ではなく、体重管理を

スポーツ選手にとって、やせ過ぎはケガや貧血を起こす理由のひとつになります。

抵抗力が低下し、風邪を引きやすくなりますし、病気の治りも悪くなります。女性ならば月経不順、無月経の問題も。やせ過ぎから、健康に関係した様々な現象が起きます。

体重を増やしたくないという気持ちも分かりますが、無理して維持するような体重は、その人にとって正常ではないということです。つまり少なすぎるのです。健康上の問題がなく、無理せず維持できる体重が、その人にとって望ましい体重です。

コンディショニング ワンポイント

成長期において、減量は身体への負担以外の何者でもありません。
適正体重を把握して、カラダをしっかりつくりましょう。

間違った減量は、選手の身体をむしばむだけ

急激な減量は避けよう

減量しようというスポーツ選手は少なくありませんが、しばしば体重の減らし方に問題があります。もちろん太り過ぎは動きを悪くする理由になりますし、スポーツ選手に限らず健康を考えれば、そうならない方がいいのは当然です。ただし体重を落とすとしても、急激に行わないようにしましょう。

短期間で体重を制限すると筋肉量も落ちてしまいがちです。筋肉量を維持させながら体脂肪を落とさなければなりません。

食事と水分の過度な制限は、身体に悪影響を与える

見かけ倒しの減量として分かりやすい例が、食事と水分の摂取量を制限することです。

水分を制限すると、見かけ上の体重は減りますが、水分を補給するとすぐ元に戻ってしまいます。また、成長期の中高生が食事を制限すると、身体の成長を妨げてしまったり、心身のストレスから、パフォーマンスに悪い影響が出てしまう可能性もあります。

ウェイトコントロールが必要でしたら、食事量などを制限するのではなく、食事の中身や調理の方法を見直しましょう。例えば、脂肪の多いものは控えたり、「蒸す」「茹でる」「煮る」「焼く」などの調理法により、余分な油分の摂取を工夫することです。

コンディショニング ワンポイント

水分と食事の制限は、見かけ倒しのウェイトコントロール。
減量が必要な中高生は、食事の中身や調理法を見直しましょう。

中高生アスリートは、テスト期間に要注意!

食欲に惑わされないことが肝心

中高生が太りやすい時期は、定期試験や受験でブランクができるとき。

運動しているときと同じペースで食べると、例えばサッカー部の標準的な練習量で計算した場合には、毎日約700キロカロリーが余ります。単純に計算すると、10日間で体脂肪が1キログラム増えることになります。そういう生活の変化に応じた食事の工夫が必要です。

四季の気候に合わせて、身体の変化を見定めよう

夏場の暑さ、冬場の寒さがコンディションに与える影響もあります。夏は体重が減る傾向に。しかし練習後に体重が減っているのはほとんど水分なので、エネルギーの消費量から見ると、夏よりも冬の方が運動量は多いのです。

冬は夏と比べると疲れにくいので、練習量が増える傾向があります。そのため、季節や気候に左右されず、ちょうどいい体重を維持し、疲れやケガを避けるためには、体重を定期的に測ることが大切です。
さらに、理想は体脂肪まで測れる体重計を使用すること。エネルギー消費量と摂取カロリーを考えながら、食事をバランスよくとるようにしましょう。

コンディショニング ワンポイント

体重管理は、季節や行事なども併せてコントロールすることが大切。
1年を通して、環境や身体の変化をあらかじめ予測する視野を持ちましょう。

岡村 浩嗣さん

  • 大阪体育大学 体育学部 大学院スポーツ科学研究科 学術博士/教授
  • 筑波大学大学院体育研究科卒。専門は、スポーツ栄養学、運動栄養学。

著書に「親子で学ぶスポーツ栄養(八千代出版)」「ジムに通う人の栄養学 スポーツ栄養学入門」(講談社 ブルーバックス)」「市民からアスリートまでのスポーツ栄養学(八千代出版)」

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