この時期、大会のハイシーズンが終わる競技が多く心身ともに緊張感がゆるみ、生活パターンも乱れがちではありませんか?目の前の目標に向かうときは実践しやすいスポーツライフマネジメントもオフシーズンでは、どうしても意識しなくなります。体調不良はこんな時に起こります。体調管理も競技生活の一部です。この時期こそ、カラダづくりをスタートさせましょう。
私たちのカラダは何からできているのでしょうか?カラダは主に、タンパク質、脂肪、水分でできています。特に筋肉を成長させるためにはタンパク質が必要です。タンパク質は体内でアミノ酸になり、筋肉や内臓の構成、皮膚などになる大切な役割を果たします(図1)。
また水分は、カラダの約60%を占めます。このバランスが崩れないように寒い時期でも水分補給が必要になります。
体力には自信のあるアスリートでも油断できないのが「カゼ」です。 大切な大会の前に体調を崩し、実力を発揮できなかったということも少なくありません。
カゼをひかないためには、原因となっているウイルスをカラダに侵入させないことです。カゼがはやるのは温度と湿度の低い時期。鼻やのどが乾燥すると粘膜のウイルスに対する防衛力が落ちてしまい、ウイルス が体内に入り込みやすくなります。ウイルスを取り込まないためには、冷たく乾燥した空気にふれやすいの どや鼻の粘膜を乾燥させないことが大切です。
マスクは、のどや鼻の湿度を保つ一番簡単な方法です。
運動をして汗をかくと、その汗が蒸発することにより、カラダから急速に熱をうばうため体温が下がります。冬でも汗をかいたら速やかにカラダをふいて、すぐ着替えましょう。また、運動が終わったらカラダを冷やさないようにする服を着るようにすることも心がけてください。
空気が乾いているこの時期は、運動をしていなくてもカラダが乾燥した状態になりやすく、注意が必要です。
カラダの水分が不足すると、のどや鼻にある、線毛の働きが鈍化し ます。線毛にはウイルスやほこりなどの異物を運び、カラダの外に排泄する働きがあるため、冬場でも十分に水分を摂取して、体内の水分量をキープするようにしましょう。
自分が注意していても、身近にいる人がカゼをひくことで自分も感染するリスクが高まることから、家族、チーム、クラブなどでも気をつける必要があります。タオル、コップ、給水ボトルなどを共有するとカゼが 蔓延する可能性があります。できるだけ自分専用のものを使い、体調が悪いと感じたら早めに休むことも心がけましょう。
カゼの症状はカラダの防衛反応
カゼをひくと、いろいろな症状がでますが、そのほとんどはカラダがウイルスを排除しようとして起こる症状です。熱が出るのも、ウイルスを排除するのに役立っているのです。寒気はその熱を作るための筋肉の活動です。鼻水は、ウイルスを洗い流す役目があります。セキやクシャミも、粘膜についた微粒子をカラダの外に追い出すためにでます。だるくなったり、無気力になってカラダを動かすのが億劫になるのも、ウイルスと戦うのに必要なエネルギーを他の活動で使ってしまわないようにするためだと考えられています。このようにカゼの症状は、不快なものですが、ウイルスをやっつけるために大事な武器になっているのです。
出典:日本体育協会発行「ガイドブック スポーツ活動と防衛体力」より抜粋
参考文献:日本体育協会発行「ガイドブック スポーツ活動と防衛体力」
出典:日本体育協会発行 Sports Japan 2016年11-12月号掲載記事
監修 清水 和弘 先生
専門は、免疫学的指標を用いたアスリートのコンディション評価、アスリートのコンディショニング。
リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック・ハイパフォーマンスサポート・センター運営責任者として、トップアスリートが試合で最大のパフォーマンスを発揮できるようにサポートを実施。